顔も覚えていない人の事を、一生忘れない・・・そんなことがあった

 

私が介護タクシーを始めて、実に三件目のご依頼を頂いたのは、86歳のS様という男性でした。

ケアマネ様から世田谷移動支援センター・「そとでる」を通じて弊社にご依頼を頂いたのです。

仕事の内容は、その方の最後の身内である、弟様の葬儀への送迎でした。

 

(以下、です・ます調を省略します)

 

送迎の車中、色々な話をした。

若い頃は洋食を専門とする調理師のお仕事をされていたこと、

戦争がもう少し長引いていたら召集されていたであろうということ・・・

 

そして最後の身内である弟様がいなくなって寂しいですねと、心中をお察しして弔意を申し上げた。

 

この方はエレベーターのない古い都営住宅の3階にお住まいなので、階段昇降機での介助をさせて頂いた。

階段介助も終わり、最後に室内にお招きいただき、少しお話をした後、料金を請求させて頂くと、S様は「こんなに安くていいのか」とおっしゃり、料金とは別に2000円ものチップを下さった。

また、次回からはケアマネ様や「そとでる」を通さずに直接ご依頼くださるとも言ってくれた。

 

1~2週間の後、S様ご自身からお電話を頂き、弟様の四十九日法要への送迎と法要中の付き添いをご依頼頂いた。耳が遠くていらっしゃるのに、ご自分で電話を下さったことが私にとってすごく嬉しかった。

そして私にとって初めてのリピーターとなった。

私はお礼を申し上げ、電話を切った。またお会いするのが楽しみであった。

 

ご依頼のお電話から四十九日法要までは1か月ほど間があいたので、当日の3日前に確認の電話をした。一度目かけたときはお出にならなかったので、次の日にまたおかけした。またお出にならない。何時間かおいてまたおかけしたがやはりお出にならない。

全部で4回ほど電話した後、何か嫌な予感もしつつ、弟様の葬儀の時に連絡を取り合っていた、弟様の後見人の方に電話した。

 

事の成り行きを説明すると、その方は「お聞きになってないんですか?」「Sさんはお亡くなりになったんですよ」とおっしゃった・・・

 

残念なことに嫌な予感は的中してしまった。

しかしまさか、大きな病気もなく、亡くなるような衰弱も感じられなかったのに、この短い間に亡くなってしまうなんて、信じられなかった。

 

身寄りのない方なので葬儀も行わず火葬だけ行い、S様宅に安置してあった弟様のお骨とS様本人のお骨は、お寺の和尚様が引き取って下さったこともお聞きした。

 

介護タクシーの同業の先輩方からは、ご利用者さまが亡くなってしまうことだってあるよとお聞きしていたものの、こんなに早く経験するとは思っていなかった。

 

たった一度、送迎介助させて頂き、往復の数十分間お話しただけ、しかも私は運転中の会話はバックミラーで相手のお顔を見ることはあまりしない方なので、正直お顔も覚えていない。

決して裕福な方ではないと思われるのに高額なチップを下さり、耳が遠いのにご自分で依頼の電話を下さったSさまは、私にとって絶対に忘れることのできない方になった。

 

その夜S様の事を想い姿勢を整え、黙とうを捧げた。

 

顔も覚えていないのに、一生忘れることのできない人・・・

そんなことが、本当にあったのだ。

 

平山郁夫

 

石川たかひろ

 

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顔も覚えていない人の事を、一生忘れない・・・そんなことがあった への1件のコメント

  1. ちかこ

    大変な仕事だけど君のためになる素晴らしい仕事だと思う.
    忘れないで心の中に大切にして下さい

    返信

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